社説/半導体の24年復調 在庫調整一巡、AI普及に期待

(2024/2/15 05:00)

半導体市場が回復基調にある。2023年12月の世界の半導体売上高は10カ月連続で前月実績を上回り、24年は過去最高が見込まれる。在庫調整が一巡したほか、生成人工知能(AI)の普及に伴う需要拡大が期待される。日米の株式市場は半導体関連銘柄がけん引し、日本は史上最高値の更新が視界に入る。半導体市場が24年に力強く回復すると期待し、注視したい。

米国半導体工業会(SIA)によると、23年12月の世界の半導体売上高は前月比1・5%増の486億ドル(約7・3兆円)。コロナ禍の巣ごもり需要の反動を受け、パソコンやスマートフォン向けで進めていた在庫調整が23年春以降に一服。スマホ需要にも底入れの兆しがあり、IDCによると23年10―12月の世界出荷台数は前年同期比8・5%増と回復傾向にある。

24年は生成AIを活用したサービスの本格化や、ガソリン車の2倍以上の半導体を使う電気自動車(EV)の着実な普及などが見込まれ、SIAは世界の半導体売上高が前年比13・1%増の5953億ドル(約89兆円)と予測する。この予測通りの数値を実現すると期待したい。

半導体受託製造(ファウンドリー)最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の1月の売上高は前年同月比7・9%増。同社はAI向け半導体で8割の世界シェアを持つエヌビディアから製造を受託しており、AI半導体の旺盛な需要がうかがえる。

日本企業は世界シェア3割を持つ半導体製造装置などで存在感を示しつつ、半導体の国内生産を中長期で拡大し、経済安全保障を確保することが求められる。日本半導体製造装置協会は、24年度の日本製の販売高は前年度比27%増と予測する。生成AIなども追い風に、拡大する需要を確実に取り込みたい。

半導体の国内生産では、TSMCが熊本第1工場で年内に量産を始め、同第2工場とラピダスの工場が27年の稼働・量産を目指すなど経済安保の対応が進む。日本政府は半導体の国産を中長期で促す優遇税制も24年度に講じる予定で、半導体復権に向けた歩みを確実に進めたい。

(2024/2/15 05:00)

総合2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン