[ オピニオン ]
(2017/5/2 05:00)
国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」(SDGS)について、産業界は単なる企業の社会的責任(CSR)と捉えるのではなく、新たなビジネスチャンスと捉え、取り組むことが重要だ。
SDGSは15年の達成を目標とした国連のミレニアム開発目標を引き継ぎ、社会の課題解決と経済成長を同時に進めようとする考え方。30年までに貧困や飢餓、教育、技術革新、エネルギー、気候変動などに関する17の目標と169のターゲット、230の指標を掲げている。
地球環境戦略研究機関(IGES、浜中裕徳理事長=元地球環境審議官)と、SDGSを企業行動につなげる活動を行うグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ、有馬利男代表理事=元富士ゼロックス社長)が、233のGCNJ会員企業・団体にアンケートとヒアリングした。この結果、「欧米は最高経営責任者(CEO)が知っている」のに対し、日本企業は後れを取っていることが分かった。
SDGSの社内への認知度にについて、84%が「CSR担当者に定着」と回答し、15年の前回調査より増えた。「経営層に定着」も28%と少し増えた。しかし、SDGSを実際のビジネスに取り込む上で重要な役割を果たす「中間管理職に定着」はわずか5%にとどまった。
ニーズのないモノやサービスをつくり、市場に出しても売り上げは上がらないことは言うまでもない。SDGSは社会貢献を求めているのではなく、30年に向けての世界中の人々のニーズを示し、それをビジネスに取り込むことを求めているのだ。
もちろん、個々の企業がSDGSのすべての目標をビジネスに取り込むことは困難だ。まずは自社のリソースや他社との連携などによって、事業として手がけることができる目標を選定し、経営課題として検討することが求められる。
SDGSを「理解する」から卒業し、「優先課題を決める」「目標を設定」「経営に統合」へとステップを進めることが、企業の成長につながるはずだ。
(2017/5/2 05:00)