[ オピニオン ]
(2017/5/18 05:00)
「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)が20日、施行される。海外で違法に伐採された木材を購入しないことはもちろん、国産木材の利用を増やすきっかけにもしてほしい。
海外では違法伐採が後を絶たず、10年間で日本の国土面積の10%強に相当する森林が世界で失われている。森林破壊は環境問題にとどまらない。途上国では住む場所を奪われた原住民と伐採業者との間で紛争となり、人権問題にも発展した。
こうした事態を受け、クリーンウッド法ができた。名称の通り、合法的に切り出された木材の利用を広げ、違法伐採木材の流通を根絶する。
重要な役割を担うのが新設の「登録木材関連事業者」だ。自主的に登録事業者になった企業に、合法性を確認してもらう。木材輸入業者が登録事業者であれば産地を調べ、現地政府の合法証明を入手する。
木材加工工場は登録事業者から材料を購入すれば、自ら合法性を調査しなくてもよい。登録事業者が要となり「市場に合法木材を満たす」(林野庁)仕組みだ。
ただし、登録事業者は合法性を確認できなかった木材も販売できる。未確認や違法木材の売買に罰則もない。合法木材の使用が努力義務であるためだ。
海外では企業の木材利用に厳しい目が向けられている。東南アジアでは合法と言いつつ、実態は違法に近い伐採を繰り返す企業が周辺国で不買運動を受けた。熱帯雨林を破壊したと非難された企業は株価が急落した。思わぬ批判を受けないために、日本企業も違法伐採が疑われる木材を調達していないか、リスクの洗い出しが必要だ。
林野庁によると、日本の木材自給率は30%。国土の70%が森林でも、製品に使われる木材の多くを輸入に頼る。合法性を確認しやすい国産材の利用が増えれば、森林が適切に管理され、国土保全につながり、林業の活性化にも貢献する。
企業には違法木材を使うリスクを減らす手段として、国産材の利用を検討してほしい。
(2017/5/18 05:00)