[ オピニオン ]
(2017/11/10 05:00)
政府の働き方改革の方針を受け、建設業が週休2日制の導入や長時間労働の是正に向けた検討を始めている。実現には難題がいくつもあるが、官民挙げて本腰を入れて取り組んでもらいたい。
製造業では当たり前の週休2日制が、建設業ではほとんど実践されていない。「4週6日」(4週間で6日の休み)の現場も増えてきているが、「4週4日」が多く、週に1日しか休めないのが実態だ。
日本建設業連合会の山内隆司会長(大成建設会長)は「日曜日の休日が定着するのにも数十年かかった」と説明する。週休2日制の導入となれば一筋縄ではいかないだろう。
まず発注者の理解が欠かせない。公共工事については、国土交通省が工期の平準化策を講じ、年度末に工事が集中する弊害を改善しようと努めている。週休2日を前提としたモデル工事の導入も進めている。
一方、民間企業に適正な工期設定を理解してもらうことが、週休2日制実現のカギを握る。民間にとって工期はビジネス機会と密接に絡む。休日の増加で工期が伸びれば、商機を逸することになりかねない。
建設業者は生産性向上などで工期短縮に向けた取り組みを示す必要がある。併せて、週休2日制への理解を粘り強く説明していくことが重要だ。
さらに問題なのが、技能労働者の収入減だ。技能労働者の給与形態は、働いた日当分を毎月まとめてもらう「日給月給制」がかなりの割合を占める。週休2日になると収入が減ってしまう。元請けと下請け企業が、減少分を担保する仕組みを考え出す必要がある。
建設業は高齢化が進んでおり、今後10年間で100万人以上が離職し、担い手不足が深刻化する。若者の入職者を増やすには、より魅力ある産業に生まれ変わる必要がある。
政府や産業界は総じて、働き方改革に前向きな状況だ。これを追い風として、建設業は週休2日制導入に取り組むべきだ。業界を変革するチャンスを逃してはいけない。
(2017/11/10 05:00)