[ オピニオン ]
(2017/11/29 05:00)
「2017国際ロボット展」が東京・有明の東京ビッグサイトで29日に開幕する。モノづくりの発展に大きく貢献してきたロボット技術だが、今後は少子高齢化や災害対応など、日本の社会的課題の解決を担うことも期待したい。
展示会では近い将来、職場や日常生活を共にするであろうロボット達に一足早く出会い、その機能を実感できそうだ。人とロボットが共存、協働する社会がすぐそこまできている。
モノづくりの現場で作業する産業用ロボットは、人と同じ場所で働く協働ロボットとして進化を遂げている。安全機能が向上し、人の側での作業が可能になった。加えて、小型化やティーチングの容易さなど改良が進み、普及に弾みがついた。
この分野では日本勢が断トツで、ファナック、安川電機、川崎重工業などメーカー各社が協働ロボットを投入し、性能や用途の提案が活発化している。
最近のブームのけん引役といえるのがサービスロボットだ。センサー、カメラ技術の進化により、人と会話ができるコミュニケーションロボットが続々と登場している。すでに店頭で接客業務を担うロボットが出始めているほか、医療・介護分野など実用的な業務での活用を想定した開発も進む。
他方で「ロボットが普及すると人の仕事が奪われるのではないか」と危惧する向きもある。しかし、少子高齢化が進むと、好むと好まざるとにかかわらず、ロボットの活用は不可欠となる。人が気持ちよく働ける、生活できるようにサポートしてくれる存在ととらえることが、共存共栄のヒントになるのではないか。
「使う側の予想を上回るものを作るべきだ。これに徹すれば、どの時代でも、どこの国のモノづくりでも生き残れる」。今夏に、モノづくり日本会議設立10周年記念シンポジウムで講演した豊田中央研究所(愛知県長久手市)所長の菊池昇氏の言葉である。
ロボットが支える優しい社会の実現は、私たちの手にかかっている。
(2017/11/29 05:00)