[ オピニオン ]
(2017/12/20 05:00)
再生可能エネルギーのコスト低減が進まない。安価な再生エネを求める企業は増えており、利用企業を含めて官民一体でコスト削減策を議論すべきだ。
再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)は、再生エネ発電事業者が電力会社に電気を売る価格を政府が決めていた。2017年度に申請する業務用太陽光発電の売電価格は1キロワット時21円。FITが始まった12年度から半減したが、海外のほぼ2倍と高い。
そこで経済産業省は今年、新設する2000キロワット以上の太陽光発電所の売電価格の決定に入札制度を導入した。発電事業者が価格を提示し、安い事業者から電気を販売できるようにしてコストを競わせる。
結果は9件が参加して9件とも落札。最安値は17円台だったが、上限価格の21円と同じ落札額も2件あった。
もともと29件の事業が入札を計画し、経産省は50万キロワットの枠を設けていた。しかしコスト削減が難しいと判断した事業者の入札辞退が相次ぎ、9件合計でも14万キロワットにとどまった。
コストが下がらない理由は明白だ。太陽光パネルは輸入品が増え、海外との価格差は縮まった。一方で発電所から送電線までつなぐ鉄塔など、日本でしか調達できない資材価格や工事費が高止まっているのである。
風力発電も高止まっている。日本の風力発電所の建設費は海外の1・6倍の水準。規制があって3―5年かかる開発期間の長さが、コスト低減の足を引っ張っている。
ただ、電力会社が再生エネを買い取る費用は、電気代と一緒に徴収する賦課金で賄う。高コストのままだと「賦課金が国民負担」という批判は収まらないだろう。
企業も安い再生エネを求めている。ソニーは欧州全拠点の電力全量を再生エネで賄う。リコーや積水ハウス、アスクルも再生エネに切り替えていくと宣言した。しかし、日本では安価に調達できないと口をそろえる。
課題は明確である。電気を使う企業も含めて、幅広い視点から解決策を議論してほしい。
(2017/12/20 05:00)