[ オピニオン ]
(2017/12/28 05:00)
2020年の東京五輪・パラリンピックの開催まで2年半余り。経済活動への影響を最小限に抑え、大会を成功に導く上で、政府や組織委員会には、交通規制などに関わる期間中の輸送計画を早急に示すことを求めたい。
競技場の多くが立地する東京商工会議所が会員企業に実施した調査によると、約4割の企業が期間中の交通規制への対応を検討している。
一方で気になるのは、運輸業の動向だ。仕入れや出荷時間の変更や回数抑制について「対応できない」との回答が他業種に比べ突出して高く、「自社だけでは対応しようがない」との声が相次ぐ。荷主の協力なくして対策を講じようがないのは当然である。
東京五輪期間中の交通渋滞回避策を巡っては、テレワークや時差出勤の推進が呼びかけられている。一人一人の取り組みはもちろん重要だ。だが、選手や大会関係者の円滑な輸送と平時の経済活動をどう維持させるかについて議論を急がなければ混乱が予想される。
政府や組織委、東京都は、交通円滑化に関わる検討の場を2017年に発足。トラックや物流業界をはじめとする経済界の代表も参加している。ただ、会議は5月に開催されたきりで、次回の開催予定は未定という。
東商の調査からは「実際にどのような支障が生じるか想像がつかない」「東京の事業者として大会運営に協力するのは当然だが、早期の情報提供がないと最低限の協力しかできない」との声が相次いだ。
一方で人員配置や配車計画を進めるには、遅くとも1年半前には期間中の交通規制に関する情報を入手したいとの声もあった。裏返せば、詳しい情報が得られれば、早めの対策を講じる余地が大きいともいえる。
経済活動の集積度合いを踏まえれば、東京だけの問題ではないことは明らかだ。東京の物流機能が滞れば、サプライチェーン全体に多大な影響を及ぼし、国民生活に支障を来す。高い都市機能を誇る日本の経済界として知恵を絞りたい。
(2017/12/28 05:00)