[ オピニオン ]
(2018/6/1 05:00)
モノづくりにデジタル革命を起こそうと、生産設備メーカーとIT企業が連携している。製造現場の事情に合ったシステム開発が進んでいることを評価したい。
モノづくりとデジタルの融合は産業革命ほどの衝撃があるとされる。政府は国家戦略として「コネクテッドインダストリーズ」を提唱し、データ活用による現場力の底上げを目指す。
先行するのが生産設備のIoT(モノのインターネット)化だ。稼働データを集め分析し、コスト削減余地を発見したり、故障の予兆をつかんだりする。
三菱電機の名古屋製作所では、電子基板の生産をIoT化した。実装機のデータから基板上への装着ミスが起きやすい電子部品をあぶり出し、設計者と情報を共有。部品の取り付け位置を変更するなどの改善で実装不良を減らした。
その三菱電機は、日立製作所、NECなどと工場用IoT基盤構築に向けたコンソーシアムを結成している。ファナックはすでにIoT基盤を運用する。米シスコシステムズといったIT企業と開発した。
どちらのIoT基盤も工作機械や成形機、ロボットなどのメーカーがつながり、データを集約化する。多数のメーカーの設備を使う工場に導入しやすい。
また、データを機器近くで処理する「エッジ(末端)コンピューティング」を採用する点も、二つの基盤に共通する。社外サーバーに送信してデータを処理するクラウド型よりも応答が速く、現場で起きた問題にすぐに対処できる。データが社外に出ないので安全性も高い。
課題は、導入した企業担当者がIoTを使いこなせるかどうか。DMG森精機と野村総合研究所は、デジタル化を支援する会社を設立した。6月1日から担当者一人ひとりの経験に応じたトレーニングを提供する。
東京・有明でスマートファクトリーJapan2018(日刊工業新聞社主催)が1日まで開かれている。出展者はIoTに対する来場者の不安を聞き、使いやすいシステムに進化させる機会にしてほしい。
(2018/6/1 05:00)