[ 政治・経済 ]
(2018/9/6 08:30)
6日午前3時8分ごろ、北海道の胆振地方中東部を震源とする地震があり、北海道安平町で震度6強の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは37キロで、地震の規模(マグニチュード)は6.7と推定される。余震とみられる地震も相次いでおり、気象庁が警戒を呼び掛けている。土砂崩れや家屋倒壊が多数発生し、厚真町で少なくとも28人が安否不明となっている。道内の全約295万戸で停電が発生した。
道や道警、消防によると、厚真町吉野地区で大規模土砂崩れが発生し、少なくとも家屋15軒が倒壊。地区住人40人のうち12人が救助されたが、28人の安否が不明となっている。同町では他に幌里地区など2カ所で土砂崩れが確認され、生き埋めになった人がいるとみられる。安平町でも土砂崩れが起き、2~3人の行方が分からなくなっている。
札幌市や厚真町などで少なくとも重軽傷者が約100人出ており、札幌市などでも家屋が倒壊した。室蘭市では三菱製鋼で火災が発生したが、数時間後に鎮火した。
道内の全ての火力発電所が停止し、全約295万戸で停電が発生。復旧のめどは立っていない。道内の大半の信号がストップしており、道警が不要不急の外出を避けるよう呼び掛けている。広域で断水も起きている。
北海道電力によると、道内の全ての火力発電所が停止し、全約295万戸で停電が発生している。復旧のめどは立っていない。道内の大半の信号がストップしており、道警が不要不急の外出を避けるよう呼び掛けている。
JR北海道は、新幹線を含む道内の全線で運転を停止。国土交通省新千歳空港事務所によると、滑走路に異常はなかったが、ターミナルビルが水漏れなどで閉鎖され、全発着便の欠航が決まった。
気象庁によると、震源近くにある複数の地震計のデータが届いておらず、厚真町でも震度6強程度の揺れになった可能性がある。
主な地域震度(6日午前3時、気象庁発表=時事)
松森敏幸地震津波監視課長は「1週間程度は最大震度6強程度の地震に注意してほしい」と呼び掛けた。地震による津波の心配はない。主な各地の震度は次の通り。
震度6強=北海道安平町
震度6弱=千歳市
震度5強=札幌市、苫小牧市
震度5弱=函館市、室蘭市
震度4=小樽市、旭川市、青森県東通村
安倍首相「人命第一で対応」 自衛隊2万5千人態勢に
安倍晋三首相は6日午前、北海道で震度6強の揺れを観測した地震を受け、首相官邸で記者団に「人命第一で政府一丸となって災害応急対応に当たる。これから危機管理のためにしっかりと対応したい」と語った。政府は官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置し、情報収集を急いだ。
地震後、北海道の高橋はるみ知事が自衛隊派遣を要請。首相は官邸で午前7時半すぎに開かれた関係閣僚会議で、自衛隊員4000人が既に現地で活動しており、今後2万5000人態勢にする方針を明らかにした。
首相は地震直後の午前3時10分、関係省庁に対し、被害状況を把握し、被災者救助に全力を挙げるよう指示。午前5時50分ごろに官邸に入った。官邸には、首相に先立ち、菅義偉官房長官や小此木八郎防災担当相、高橋清孝内閣危機管理監らが駆け付けた。
震度6強、海溝でなく内陸断層起因 気象庁が会見
北海道胆振地方中東部を震源とする地震で、気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は6日朝、記者会見を開き、内陸の断層がずれて発生したと発表した。懸念されている千島海溝沿いの超巨大地震とは、震源が異なるとみられる。
震度5、6が弱と強に分かれる震度階級になった1996年以降、北海道で震度6強を観測したのは初めてという。政府の地震調査委員会は昨年、北海道の南の十勝沖から択捉島沖まで延びる千島海溝沿いで、マグニチュード8.8以上の超巨大地震の発生が切迫しているとの評価をまとめている。
松森課長によると、今回の地震は岩盤同士が押し合い、断層でどちらかがせり上がって起きる逆断層型で、発生場所は内陸部だった。千島海溝とは100キロ以上離れているが、松森課長は関連性についてコメントを避けた。
震源から西に約10キロ離れて、主要な活断層である石狩低地東縁断層帯があるが、「関連は分からず、今後の地震調査委員会で評価される」と述べるにとどめた。
震源近くの地震計は地震直後からデータ送信ができず、震度が分かっていない。同庁は厚真町の一部で震度6強、むかわ町などで6弱の揺れだった可能性があるとみて、職員を派遣してデータを回収する方針だ。
(2018/9/6 08:30)
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