[ オピニオン ]
(2018/12/24 05:00)
消費増税の大規模対策など歳出拡大が目立ったものの、辛うじて財政健全化を前進させたことを一定評価すべきだろう。
政府の2019年度予算案は、一般会計の総額が101兆4564億円と、当初予算ベースで初めて100兆円台に乗せた。10月に実施予定の消費増税の効果もあり、税収はバブル景気の1990年度を上回る62兆4950億円を見込む。借金の比率は32・2%と2ポイント超改善。プライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)の赤字は9兆円台に縮小する。
個々の歳出項目には疑問が残る部分もある。消費増税対策として取り入れたポイント還元や低所得層向けのプレミアム付商品券などはバラマキの色彩が濃い。財務省幹部は「あくまで臨時・特別の措置。減税しても必ずしも消費は増えないが、今回のポイントや商品券は『使えばトクになる政策』で、景気への効果が見込める」と説明する。
また、消費増税と防災・減災の対策を兼ねた「臨時・特別」の公共投資は1兆3475億円の大盤振る舞い。高価な防衛装備の輸入増も予算規模拡大の圧力となっている。
政府の最大支出である社会保障関係費では、高齢化に伴う自然増にはある程度、メスを入れた。しかし、子育て支援などの政策を上乗せしたことで、1兆円を超す支出増は避けられなかった。
このほか、額は小さいが、科学技術関係費や中小企業対策費はプラスを確保した。新設した国際観光旅客税を財源とする観光客向け施策は、小粒ながら将来に向けた施策と言えよう。
これらの結果、政策的経費である一般歳出は前年度比5・2%の高い伸びを示した。財務省は、消費増税ショックを乗り越えた時点で対策経費を削ると強調するが、一度、広げてしまった風呂敷をたたむには、よほどの覚悟が必要となろう。
全体的に支出の拡大が目立つ中にあって、PB赤字が久々に10兆円を切ったことは評価できる。将来の増税を圧縮し、子孫への借金のつけ回しを減らすことは重要だ。
(2018/12/24 05:00)