[ オピニオン ]
(2019/4/9 05:00)
建設現場の生産性向上策「i―Construction(アイコンストラクション)」が4年目に入った。国土交通省は2019年度を「貫徹の年」と位置付け、生産性革命を推し進める。まずは10のモデル事務所を決定、3次元(3D)モデリング技術「BIM/CIM」など新技術を活用した取り組みを先導する。サポート事務所では情報通信技術(ICT)施工を全面適用する「フル活用工事」を実施。全国の地方自治体や中小建設業へ生産性向上の成果を波及させる好機になる。
アイコンストラクションは国交省の生産性革命プロジェクトの重要施策の一つ。16年度に始動し、25年度までに建設現場の生産性を2割向上させる目標を掲げる。ゼネコン各社もこの目標を踏まえ、土木を中心に先端技術の開発を進めている。
国交省はICT施工の工種を当初の道路や河川工事から、18年度に舗装工やしゅんせつ工へ広げた。19年度は地盤改良工、のり面工、浮体構造物設置工にもICT導入を拡大する。工事全体で3DデータやICTの新技術を一貫して活用できる基準を整備する。
モデル事務所は調査・設計から維持管理まで3Dデータを積極活用しつつ、新技術導入を促す「3次元情報活用モデル事業」を実施。3Dデータを集中、継続的に活用して業務プロセスを改善し、建築生産・管理システム全体の効率化を目指す。
併せて全国53カ所に設けるサポート事務所の役割も重要だ。道路や河川工事でICTフル活用工事を実施し、積極的に新技術の活用を促す。3Dデータの専門家を育成し、支援体制を充実させる。さらにアイコンストラクションを活用できていない地方自治体や地域企業に対し、取り組みをきめ細かく支援する相談窓口も用意する。
この間、3Dデータの浸透は目覚ましく、飛行ロボット(ドローン)で測量し、設計・施工、維持管理まで活用する先進事例が増えている。モデル事務所やサポート事務所の新たな取り組みで、アイコンストラクションの裾野拡大につなげたい。
(2019/4/9 05:00)