[ オピニオン ]
(2019/4/17 05:00)
農林水産省がロボットなどの最先端技術を農業に実装し、導入効果を検証する研究事業「スマート農業関連実証事業」が4月からスタートした。今回採択した全国69件の田畑を対象に生産から出荷までロボットやIoT(モノのインターネット)による自動化設備を一貫した体系で導入し効果を明らかにする。日本の最先端技術によるスマート農業で、世界に誇る効率化農業の実現を目指してほしい。
これまで農水省は民間企業とともに農業で活用可能な革新技術として、自動走行トラクター、自動運転田植機など個別の技術開発を進めてきた。実証事業では、これらの技術について、実際の田畑で耕起・整地に始まり、種まき・苗植え、水・栽培管理から収穫まで一貫した体系で導入し、その効果を検証する。農水省の研究事業とし、導入する設備などの全額を補助する。
今回対象に採択した69件の内訳は水稲、畑作、露地栽培、花き、施設園芸、果樹、茶、畜産と幅広い。また、100ヘクタールの大規模なものから、中山間地の小規模で異形な田畑や離島などの条件の農場も対象とした。
大規模な水田の場合では、さらなる大規模化に向け生産コストの削減や収量・品質の確保が課題になる。ここに経営・栽培管理システムや自動操舵付きトラクター、多機能自動給水栓、食味・収量センサー付きコンバインなどを体系的に導入する。
また、山間部の水田では、小規模で異形のほ場で生産や労働コストを削減し、高品質の収穫向上が課題。そこで経営・栽培管理システム、ドローンによる農薬散布、無線遠隔草刈り機などを導入。ICT田植機や食味・収量センサー付きコンバインなどを地域シェアリングで活用し、導入コストを低減する。
農水省は2年の事業期間で導入による効率化や収量拡大、高品質化の効果を検証するとともに、普及への課題を把握する。
高品質の農産物を高効率で生産できる手法を確立することが農業活性化のための有力手段であることは確か。日本が誇るロボット、ICTなどの技術を駆使し活路を切り開いてほしい。
(2019/4/17 05:00)