産業春秋／スタートアップと街作り

日本で１日の乗降者数が最も多い新宿駅。その西側、高層ビルが立ち並ぶエリアで東京都がスタートアップと共に街の魅力を高める実証実験が始まる。

Ｍｅｌｌｏｗ（東京都千代田区）は、ビルや土地のオーナーと契約し、街の中にさまざまなジャンルの料理を提供する販売車（フードトラック）を集める。

何曜日のどこにどんな料理の車が来ているか、スマートフォンのアプリで簡単に把握できる。土地のオーナーと販売車、購入者を結びつけ、働く人に食事の豊富な選択肢を提供する。そういうプラットフォームを設計、運営する。

ＮｅａｒＭｅ（同中央区）は、大型タクシーを要望があれば配車するシャトルサービスを手がける。西新宿は実は移動が不便な場所だ。元は浄水場だったこともあり、都心にしては区画が広い。安心してすぐに使えるオンデマンド交通が普及すれば、さぞ便利だろう。同社も移動を快適にするプラットフォーム企業を目指す。

両社以外にも多数の企業がサービスを予定している。都は詳細を詰めて、来年１―３月に実証を始める。コロナ禍で企業活動にもさまざまな制約がかけられている。ビル街に彩りや豊かさをもたらす各社の挑戦を応援したい。