(2023/9/12 05:00)
25年提供へ警備など実証
遠隔でも直感的な現場対応を実現―。OKIは人やロボット、センサーなどを連携して遠隔運用管理するプラットフォーム(基盤)技術「REMOWAY(リモウェイ)」を開発し機能検証を進める。遠隔での業務監視や制御が可能なため、労働力不足が深刻な各種現場の業務効率化や生産性向上を実現する。2025年にサービスを開始し、30年には最大限の費用対効果が出るようなソリューションの提供を目指す。(高島里沙)
リモウェイはマルチベンダー対応で、複数種類のロボットや既設の各種センサー、IoT(モノのインターネット)端末、インフラなどを柔軟に連携制御できるのが特徴だ。また1対N運用のため、人による多拠点の業務運用に加え、複数ロボットを使った業務運用も可能とする。現場の業務特性に応じたデジタル変革(DX)環境を遠隔運用することで、労働力不足解消につなげる。
ターゲットにするのが、現場の人材不足が深刻な商業施設や介護施設、工場施設、工事現場など。イノベーション事業開発センターの加藤圭センター長は「警備や施設管理、工事現場の人が減る中、事業の維持・拡大に向けてIoTやロボット、センサーなどで業務効率化を図る」と語る。
リモウェイを22年9月に開発し、現在は他社と実証実験に取り組み、「実際にどこで使えるのか」「どこからが製品になるのか」などの機能検証や改善を進めている段階だ。技術発表以降、リモウェイを試してみたいという企業からのニーズも高かったという。
実証実験は警備会社や鉄道会社、道路工事会社などと進めてきた。オフィスや商業施設の警備では、警備ロボットやタブレット端末を用いた3拠点の同時実証実験を実施した。見えてきた課題はさまざまある。第1がロボットと管制センターに在籍する人とのコミュニケーションだ。ロボットが対応できないときには現場に人を向かわせる必要もあり、指示や対応のためのコミュニケーションが欠かせない。画質レベルや音声コミュニケーションがどれくらい必要かなどを詰めながら製品化につなげる。
鉄道会社とは駅構内で複数ロボットを巡回させて人やロボット同士がぶつからないよう注意喚起を促すなど動作検証を実施した。道路工事会社とは、道路規制材のラバーコーンが転倒していないかをロボットが監視して遠隔監視・制御する実験を実施した。道路上の作業は死亡事故が発生するなど危険を伴うため、ロボットへの置き換えが求められる。
警備ロボットが巡回するにも段差など施設側が対応していない場合も多い。また同じ商業施設でも、規模によって前提条件が変わってくる。こうした事例を積み重ねながら、25年の製品化を目指して改善を図る。今まで人が取り組んでいたことをロボットで100%置き換えることは難しく、加藤氏は「ロボットと人との協調が大切だ」と強調する。
(2023/9/12 05:00)