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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/1 05:00)
国立精神・神経医療研究センター神経研究所の荒木亘室長らは、記憶障害などの症状を伴うアルツハイマー病に関し、原因のたんぱく質を取り除けば病態が回復可能なことをラットの細胞実験で突き止めた。アルツハイマー病は、病態の進行を防ぐために原因たんぱく質の蓄積を抑える治療法の研究が進む。ただ、治療によって病態が回復するのか詳しく分かっていなかった。治療や予防法の開発に役立つ可能性がある。
筑波大学、米トーリー・パインズ研究所との共同研究。成果は31日、国際科学誌モレキュラー・ブレイン電子版に掲載された。
実験には、ラットの胎児脳由来の神経細胞を使った。同病の原因たんぱく質とされる「アミロイドβ」(Aβ)の集合体「Aβオリゴマー」を含む培養液で2日間培養したところ、神経細胞から伸びる「軸索」と呼ばれる突起構造を構成する「タウたんぱく質」が異常に凝集した。
また、神経細胞間の情報の受け渡し場所となる「シナプス」の変形など神経細胞に異常が生じた。
その後この神経細胞について、Aβオリゴマーを含む培養液と、含まない培養液に分け、それぞれさらに2日間培養した。その結果、Aβオリゴマーを含まない培養液の神経細胞は正常に近い状態に回復。一方、Aβオリゴマーを含む培養液を使い続けた神経細胞は異常がさらに悪化した。
(2017/2/1 05:00)