[ 金融・商況 ]
(2017/9/7 05:00)
上場企業の株式売買単位を1000株から100株に統一する動きが進んでいる。全国の証券取引所は2018年10月までを統一化の期限とし、東京証券取引所では上場企業の9割超が完了済み。売買単位の統一は個人投資家の増加が期待され、一部の証券会社では少額投資を対象に手数料引き下げの動きも出ている。若年層を中心に投資家の拡大が進むのか。業界の期待も高まっている。(杉浦武士)
東証によると、8月1日時点で上場企業の93・3%(3298社)が100株への変更を終えた。直近では東ソー、太平洋セメント、IHIなどが売買単位の統一を決めた。期限である18年10月が近づくにつれ、ここ1―2年で売買単位引き下げを決める企業が相次いでいる。
東証は望ましい投資単位として「5万―50万円未満」を明示している。この水準に合わせるため、企業によっては売買単位の変更に加え、株式併合で1株当たりの株価を変動させる動きもある。
売買単位が100株に変わると、最低投資金額は単純計算で従来の10分の1で済む。投資金額の少ない個人投資家でも以前は手が届かなかった銘柄が購入できるようになり、株の流動性は高まる。「個人投資家が少額で分散投資できる選択肢が広がる」(楽天証券の窪田真之チーフストラテジスト)という指摘もある。
既に売買単位が100株の上場企業では、個人投資家の資金が流入するケースが散見されている。例えばメガバンク。みずほフィナンシャルグループ(FG)、三菱UFJFGなど100株単位で、かつ配当利回りも安定した銘柄は個人投資家の人気が高まっているという。
こうした投資家の動きを取り込もうとインターネット証券会社では、少額投資を対象に手数料を引き下げる動きも出ている。
一日の約定代金が10万円以下の場合、従来は松井証券のみが手数料を無料にしていたが、9月からSBI証券と楽天証券も同様のサービスを始めた。各社とも若年層を中心に資産形成層を取り込む狙いがある。
発行体の企業にとって個人株主の増加に伴い、株主管理コストが増える課題は出てくる。ただ、個人投資家のマネーの流入は資金調達という面でむしろメリットの方が大きいという声もある。
売買単位統一の期限まで残り1年弱。駆け込みのピークはほぼ過ぎたとされるが、それでも残留組はまだ200社近くもいる。
時間の経過とともに徐々に慌ただしい動きが予想される。
(2017/9/7 05:00)
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