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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/30 05:00)
落雷による事故は人命だけでなく、公共交通や産業活動にも影響を及ぼすものの、その正確な予測は容易でない。そんな中、防災科学技術研究所は、雷の危険度予測手法の開発に向け、雷の放電経路を3次元に捉える新しい観測装置「LMAセンサー」による試験観測を始めた。雷発生のメカニズムを解明することで、精度の高い雷の監視や予測情報の提供を目指している。(曽谷絵里子)
防災科研では、高性能レーダー「XバンドMPレーダー」による観測データを用い、雷雲中の上昇気流や電荷の担い手となるあられの有無を判断し、雷の発生状況と比較して予測する手法を開発してきた。ただ、予測精度の向上には落雷位置などに加え、従来の機器で観測の難しかった雲放電の放電経路の把握が必要だ。
LMAセンサーは、落雷や雷放電によって反射された電磁波を複数台のセンサーで受信することで、到達時間差により放電位置を決定できる。地震の震源地を求めるのと同様の到達時間差法を用いている。放電の緯度や経度、高度といった位置情報と時刻の連続データから、落雷、雲放電の3次元放電経路を得る仕組みだ。現在、首都圏に現在8台を設置。2018年中に12台まで増やして観測体制を整える予定だ。
野外イベントでの安全確保、精密機器工場での機材や製品の破損防止など、雷予測情報のニーズは高い。気象庁のホームページの「雷ナウキャスト」では、雷の激しさや落雷の可能性を1キロメートル格子単位で解析し、10―60分先までの予測情報を提供する。LMAセンサーからの情報を組み合わせれば、30分以内に落雷の可能性がある領域を絞り込める。
防災科研気象災害軽減イノベーションセンターの岩波越副センター長は、「民間気象会社などにも技術移転し、雷予測情報をより広く提供することで、被害低減につなげられれば」と話した。
(2017/10/30 05:00)
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