[ その他 ]
(2017/11/2 05:00)
世界ではファミリービジネスが再評価されている。どのようなガバナンスが適し、どのように世代交代や事業承継を進めていけば良いのか。早稲田大学大学院商学研究科ビジネススクール(MBA)教授で、国際ファミリービジネス総合研究所所長である長谷川博和さんに聞いた。
―ファミリービジネスとは。
「一族で株式を所有している企業の中でも成長を志向している企業をファミリービジネスと位置づけている。ベンチャー企業と方向性は同じで、2代目、3代目というジェネレーションの要素がここに加わってくる」
「ファミリービジネス学会では、さまざまなファミリービジネスのケースを研究し、同族ではない企業とどのような違いがあるのかを分析している。また後継者をどのように育て、事業を承継していけば良いのかなども研究している」
【“世間良し”で新事業】
―日本にも長い歴史を持つ同族企業は存在します。
「日本のファミリービジネスで優れた点に近江商人の“三方良し”の考え方がある。特に三つ目の世間良し。中小企業が最新設備を入れて生産現場を合理化した場合、欧米だと必要でなくなった従業員は解雇し、収益や配当のアップにつなげる。それが日本だと、余剰となった人員のために新しい事業に乗りだそうとする」
【攻守のバランス】
―同族企業にとって事業承継は大きな節目となります。
「非連続的な変曲点にしてしまってはいけない。後継者は先代が築いた守るべき価値観を継承しながら、新しい事業にも乗り出す必要がある。初代は攻めるだけで良かったかも知れないが、2代目は守りと攻めのバランスが必要で、継続しながら変革しなければならない」
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(2017/11/2 05:00)