[ オピニオン ]
(2019/4/18 05:00)
平成は、わが国が少子高齢化という難題を初めて認識した時代だった。
平成26年(2014年)5月、増田寛也元岩手県知事を座長とする「日本創成会議・人口減少問題検討分科会」がまとめた衝撃的な試算が日本列島を揺るがした。少子化の進行と、地方から大都市への人口移動により、10年から40年までの30年間に、約1800の市区町村のうち半分の896自治体で、20―39歳の「若年女性半減」の事態を招く。さらに、これらの自治体では、介護や医療などの行政機能を維持することが難しく、将来なくなってしまう「消滅可能都市」になる恐れがあるとした。
一方、総務省によると、65歳以上の「老年人口」(13年10月時点)は、3189万8000人で、最近の人口変動の中で初めて総人口の4分の1を超えた。0―14歳の「年少人口」は1639万人と、1980年代初めの2700万人規模から1000万人以上減少。少子化と高齢化は確実に進行している。
厚生労働省によると、年金・医療・介護などの社会保障給付費は、15年度の118兆円に対し、25年度は148兆円に膨らむと推計している。こうした財政不足や人材不足が立ちはだかり、病院や施設だけで「2025年問題」の医療や介護を担うことに限界が見えてきた。
少子高齢化対策の一環として、当面の人手不足を補うため、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理・難民認定法(改正入管法)を4月1日に始動した。受け入れは最大約34万人となる見込みだ。
しかし、外国人労働者を拡大しても、人手不足の解消は難しい。高齢者や女性が働く環境整備を進めることも必要だ。人工知能(AI)やロボットの活用による生産性向上も不可欠だ。
ただ、将来の国の姿は依然として見えてこない。少子高齢化社会のあり方について、産学官の英知を結集して、グランドデザインとタイムスケジュールを盛り込んだ総合的な対策を描くことが求められている。次世代の宿題は残されたままだ。
(2019/4/18 05:00)