[ オピニオン ]
(2019/5/13 05:00)
30年を超す記者経験で忘れがたい事案の一つが「リーマン・ショック」。2008年9月の米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻と、その後の世界的な株価暴落や金融・経済危機という一連の出来事だ。
負債総額は約6000億ドル(約64兆円)とまさに天文学的。長引く不景気の影響で、わが国の金融機関はリーマン破綻の主因となったサブプライムローンなどをあまり購入していなかったため、直接的な影響は比較的軽微だった。しかし、日経平均株価は1カ月あまりで1万2000円台から7000円を割り込む水準にまで下落した。
G20サミット(20カ国・地域首脳会議)が開催されるようになったのもリーマン・ショック後の金融危機の深刻化がきっかけ。今年は6月に大阪で行われる。
10月に予定される消費税率10%への引き上げ。先日、先送り発言が飛び出して物議を醸したが、政府は「リーマン・ショック並みの出来事が起きない限り引き上げを実施する」との見解を繰り返す。
このところ発表される経済指標はいずれも景気後退を臭わせる。統計だけでなく、企業の景況感も冷え込んでいる。しかし、リーマン・ショック当時の深刻な状況とは比べものにならないのは言うまでもない。
(2019/5/13 05:00)