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産業春秋/日本の基幹ロケット「H2A」29号機

(2015/11/24 05:00)

日本の基幹ロケット「H2A」29号機が24日午後、カナダ・テレサット社の通信放送衛星を搭載して種子島宇宙センターから打ち上げられる。海外からの商用衛星受託第1号であり、日本の宇宙ビジネスの大いなる一歩だ▼2012年に韓国の衛星を日本と相乗りで打ち上げた実績があるが、今回は丸ごと輸送サービスの受託。第2段部分に再々着火機能などの新技術を搭載した高度化仕様で、衛星を狙った軌道に高精度で投入することを目指す▼H2Aロケットは信頼性と経済性の両面で世界の最先端にいる。特に信頼性は03年の6号機の失敗以来、22回の打ち上げを連続して成功させ、ようやく取り戻した。しかしまだ受託実積は乏しい▼ロケット発射場は、赤道に近いほど有利な場合が多く、中緯度に位置する種子島は不利。かつては漁業者との関係で打ち上げ時期の制約を受けたり、為替の障害があったりした。可能なものから少しずつ改善し、ビジネスの基盤は整いつつある▼20年には、より効率と安全性を高めた次期基幹ロケット「H3」がデビューする予定。開発主体を初めて民間に移管し、三菱重工業が担当する。宇宙ビジネスを軌道に乗せるためにも、今回の打ち上げ成功を祈りたい。

(2015/11/24 05:00)

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