[ その他 ]
(2015/12/11 05:00)
師走の13日は古来、正月の準備を始める日とされる。毎年この日にすす払いをする社寺は多く、年の瀬のニュースの定番となっている▼パナソニックでは創業間もない時代の大掃除が語り継がれている。1923年(大正12年)の暮れ、従業員一同が工場を掃除したが便所だけはだれも手をつけない。見回りに来た松下幸之助が自らほうきを持ち、バケツで水を流して汚れを落とした▼カリスマが身をもって掃除の大切さを説き、部下は感激した―という展開かと思いきや、同社ウェブサイトの「松下幸之助物語」によると、従業員は1人を除いて手伝おうとしなかった。幸之助は憤りつつ「人間としての精神の持ち方を教えるのも工場主たる私の責任だ」と考えた▼つまり幸之助本人が人材育成を重視するきっかけとなるエピソードなのだという。「便所掃除が終わったら、何と言われようが、みんなに強く注意をしよう。そう思いながら、幸之助は便所の踏み板を何度も何度もほうきでこすった」と締めくくっている▼ことしの13日は日曜日。仕事が休みの方は、験(げん)を担いで自宅の大掃除にとりかかってはどうだろう。経営の神様のように、後に役立つ教訓を得て新年を迎えられるかもしれない。
(2015/12/11 05:00)