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(2016/5/12 05:00)
熊本地震が発生してから約1カ月がたった。被災地では深部静脈血栓症、いわゆる「エコノミークラス症候群」が問題となっている。被災者の健康被害を防ごうと、医療機器・製品メーカー各社が、血栓症の検査や血栓の発生を防ぐ製品・サービスを被災地に供給している。2次災害の抑止に向け、技術力でサポートする。
(編集委員・村上毅)
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エコノミークラス症候群は、足の血液の流れが悪くなることで血管中に血の塊(血栓)ができ、この血栓が血液の流れに乗って肺に到達し、呼吸困難やひどい場合は死に至るという病気だ。被災地では長時間、同じ姿勢を強いられるケースが多く、血栓の有無を確認したり、血栓ができないような対策が欠かせない。
【手のひらサイズ】
例えば、GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市、川上潤社長、042・585・5111)のポケット型超音波診断装置「Vスキャンデュアルプローブ」は、血栓の有無を手軽に検査できる。手のひらサイズで重さもわずか436グラムと、軽量で持ち運びも簡単なのが特徴だ。
これまで、日本超音波医学会や地元自治体などの要請を受けて、20台を被災地に貸し出している。同社は「熊本県内の病院のほか、現地に駆けつけているDMAT(災害派遣医療チーム)などからも支援の要請がきている」という。
【1万人分備蓄】
ノートパソコン型で、高精度な超音波診断装置「ロジックe」も計6台を現地に供給する予定で、多様な検査ニーズに対応する。
また、アルケア(東京都墨田区、鈴木輝重社長、03・5611・7800)は、熊本地震の災害支援用として医療用弾性ストッキング「アンシルク」を1万人分備蓄することを決めた。エコノミークラス症候群の予防策として着用が推奨されている弾性ストッキングを備蓄し、被災地の支援要請に迅速に対応する。
アンシルクは脚を圧迫する特殊な組み方で作られた医療用ストッキング。足の静脈の血流を良くして、血管などに停滞しやすい血液を緩やかに、継続的に心臓に戻すことで血栓症などを予防する。
【静脈学会と連携】
アルケアは医療機器・材料の開発・製造を手がけており、東日本大震災でも被災地などにアンシルクを提供した。今回も日本静脈学会と連携して被災地に出荷している。
鈴木社長は「災害対応には行政や学会、企業の連携が必要になる。要請に迅速に対応できる体制を整えることは医療機器メーカーの責務。微力だが、少しでもお役に立ちたい」としている。
(2016/5/12 05:00)
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