[ オピニオン ]
(2016/7/11 05:00)
参議院議員選挙で与党が勝利した。安倍晋三首相は2012年12月の政権復帰を含めて4回連続で国政選挙を制し、与党は両院の絶対多数を占めている。産業界にとって望ましい安定政権である。しかし政権は長続きが目的ではない。強固な政治基盤にふさわしい成果を、首相に求めたい。
経済政策「アベノミクス」は苦戦している。ただ、それを糾弾する野党は力不足だった。野党第1党の民進党が日本共産党を含めた統一候補を数多く擁立しながら、選挙後の連立政権を否定したことは、議会制民主主義の原則を裏切る苦し紛れの選挙戦術を露呈したものだ。支持基盤である労働組合の一部の離反を招いたばかりでなく、多くの有権者を戸惑わせた。それが与党勝利の背景にある。
日本経済は足踏みにとどまらず、景気後退の色を濃くしている。アベノミクスに対する産業界の支持は変わらないものの、6月に首相が決断した消費増税の再延期や、成長戦略の遅れに対しては批判がある。
政府としては、まず目下の世界経済の混乱に対応した大型景気対策を急ぐ必要がある。最近の円高傾向は、アベノミクスのこれまでの成果を帳消しにしかねない。輸出型企業を中心に不安が高まっている。
同時に産業界を活性化する規制改革や、経団連などが提唱する「ソサエティー5・0」をはじめ社会全体のイノベーションの加速に取り組まねばならない。首相は参院選で得た政治基盤を活用することで、今度こそ「日本再興」を確実に成し遂げてもらいたい。
参院選のもう一方の論点であった憲法改正に関しては、議論が深まらなかった印象がある。産業界としても、いずれ何らかの意見集約が必要になる時期が来るだろう。
首相が政権に返り咲いてから3年半が過ぎた。本来ならアベノミクスによる成長の果実を、国民が分かち合ってもおかしくない時期だ。参院選の勝利におごることなく、経済成長を加速するための政策に一意専心してほしい。
(2016/7/11 05:00)
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