[ オピニオン ]
(2016/11/18 05:00)
福岡市のJR博多駅前で発生した陥没事故から18日で10日になる。1週間後の15日には復旧作業がほぼ完了した。1人の死者も出さず、迅速に復旧できたことは幸いだった。
九州最大のターミナル駅前に突如現れた縦横およそ30メートル、深さ15メートルの巨大な穴は、周辺の経済活動を脅かした。詳細な検証はこれからだが、原因をしっかり追究することを望む。
事故は市営地下鉄七隈線延伸工事中に発生した。地下25メートル部を掘削作業中だったが、何らかの理由で水や土砂が流出し、これが陥没につながった可能性が指摘されている。2014年にもこの近くで小規模な陥没事故が起きており、地盤の弱さは周知の事実だった。発注者である市に危機意識が足りていなかったとすれば問題だ。
事故は8日午前4時半ごろ、現場作業員が天井部のわずかな崩れに気付いたことに始まる。その後、水の流出が始まったことで危険を予知した作業員は即座に待避。工事停止からおよそ10分後に自ら交通規制をした。崩落はその5分後という。対応を警察まかせにせず、現場で迅速かつ的確に判断したことが大惨事を未然に防いだ。
事故後の市の対応も水際立っていた。高島宗一郎市長は責任問題を後回しにして早急な復旧を指示。共同企業体(JV)代表の大成建設が主導して、1週間で埋め戻しを完了。市内の大動脈の交通規制も解除された。
福岡市は九州でも数少ない人口増加都市だ。急激な都市化にインフラが追いつかず、地価の高騰や空港の過密化などさまざまな問題が顕在化している。地下鉄七隈線の延伸は20年度完成を目指し、難工事を承知の上で進めていたという。そうした背景が事故を招いたと言えなくもない。
確かに事故後の対応では高い評価を得た。現場の判断も適切であり、産業界が危機対応として学ぶべきものも多い。しかし最も重要なのは高島市長が言う「第三者の立場の検証」によって原因を究明し、市民生活や経済活動を脅かす事故の再発を防止することだ。
(2016/11/18 05:00)
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