[ オピニオン ]
(2017/3/13 05:00)
ネーミングは印象を左右する。衣料品のユニクロが1号店の「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」のままなら、さぞなじみにくかったろう。
思わず身構えてしまうネーミングもある。現在、金融業界が反発している言葉が「日本型金融排除」。『排除』という表現に「まるで極悪人として扱われているようだ」と、地方銀行幹部は苦虫を噛みつぶしたような表情。
「日銀が金融緩和をしているのに担保を重視し、将来性の高い企業に貸し出さない銀行の態度」を金融庁は「日本型金融排除」と定義し、実態把握に乗り出した。ただ専門家からは「客観的には、銀行が貸し出しを渋っているように思えない」との声も。
日銀短観でみる限り銀行の融資態度は歴史的な緩和水準。つまり企業が融資を受けやすい環境だ。中小企業の資金繰りも大きく改善している。金融機関にすればこれ以上、何をすべきか悩ましい。
逆に考えてみよう。銀行が融資先を『排除』しても、市場が代替補完すれば将来性ある企業が資金不足に苦しむことはないはず。真の問題は、リスクマネー供給が十分ではない日本の資本市場の特性ではないか。金融機関に責任を押しつけるかのような金融庁のネーミングには注意が必要だ。
(2017/3/13 05:00)