[ オピニオン ]
(2017/4/13 05:00)
4月に分割民営化30周年を迎えたJRグループ間で、新たな競争が始まった。JR東日本が5月に『トランスイート四季島』、JR西日本が6月に『トワイライトエクスプレス瑞風』の運行を始める。
車両や料理など細部に至るまで贅(ぜい)を極め、最高で『四季島』が3泊4日一人95万円。『瑞風』は2泊3日で一人125万円と庶民には遠い世界の話。ただ予約は高倍率で、販売開始分はすでに完売。
豪華列車の先駆けはJR九州だ。13年に運行開始した『ななつ星in九州』は、1泊2日で25万円を超える破格の価格設定だった。危ぶむ声もあったが、車両デザインやサービスなどの斬新(ざんしん)さが話題を呼び、予約倍率37倍の人気ぶり。
列車の旅をプラチナチケットにするレールは、JR九州が敷いた。他社は、その後追いだ。定員が少ない豪華列車はビジネス的には大きくもうかる商売ではない。ただJR九州は、ここで得たブランド力を鉄道以外の事業に生かして上場につなげた。
本州以外のJR各社は、沿線の人口減少など厳しい経営環境に置かれている。豪華列車は規模に勝る本州3社を創意工夫でリードする分野だった。それが追いつかれた今、JR九州が次にどのようなアイデアを打ち出すか。
(2017/4/13 05:00)