[ オピニオン ]
(2017/5/22 05:00)
「生まれてから爪を切ったことがない人はいない。誰でも切れ味が分かる」―。マルト長谷川工作所の長谷川直哉社長は語る。数カ月待って購入した同社のネイルニッパーを使うと、その通りだとうなずける。
プレゼントでいただいた諏訪田製作所のネイルニッパーも負けてはいない。交互に使っているが、今までの爪切りでは満足できなくなった。
両社がある新潟県三条市は金属製品で知られ、高い技術力を持つモノづくり企業が集積している。伝統技術と最先端技術が融合しており、モノづくりに必要不可欠な技術が残っているのが強みだ。
それではどちらの切れ味が上か。長谷川社長はドイツの高級自動車ブランドを例に「ベンツが好きな人もいれば、BMWが好きな人もいる」と説明する。当然、切り比べているはずだし、その上で、研究を重ねて投入した自社商品が上だといっても不自然ではない。だが、決してライバルメーカーの商品を批判しない。
もちろん市場では競争するが、経営者同士の仲がよい。工場を一般公開するイベント「工場の祭典」などでは一致団結し、燕三条地域全体を盛り上げる。同地域は「競争と協調」というフレーズが似合う。それが本当の強みかもしれない。
(2017/5/22 05:00)