[ オピニオン ]

社説/著作権保護に「柔軟性」−産業界も要望、早期に制度整備を

(2017/5/29 05:00)

IoT(モノのインターネット)を活用した第4次産業革命やソサエティー5・0を推進するために、著作権保護に柔軟性をもたせることが大事だ。

政府は2016年の知的財産推進計画の中で「柔軟性ある権利制限規定」の検討を表明。文部科学省が文化庁の文化審議会小委員会で具体化を進め、4月に報告書をまとめた。同省は近く著作権法をはじめ関係法令を改正する考えだ。

政府は09年に「日本版フェアユース規定」の導入を打ち出した。一定の基準に基づく公正な利用は著作権侵害にあたらないという一般規定で、米国ではこれが制度化されたことにより、グーグルなどデジタル情報産業が大きく成長したという分析がある。ただ日本では権利者団体の反対が強く、この時は法制化が見送られた。

新たな「柔軟な権利制限」はフェアユースに代わる制度といえる。著作物の利用形態を研究開発や分析、教育、報道などと場合分けし、類型ごとに規制の仕方を見直すという。制度の悪用を恐れる権利者側が「的確で分かりやすい個別規定」を主張してきたことを、ある程度、取り入れたものだ。これには日本新聞協会など権利者団体の一部も理解を示した。

産業界でも経団連が賛同を表明している。関係者によると、仮に現状でフェアユースを導入しても企業側に経験が足りず、利用に踏み出せないことが予想されるという。

デジタルコンテンツを利用した新産業の創出はもちろん、既存の商品開発や利用者分析など多くの局面で、企業は著作物と向きあう必要がある。そうした場合のリスクを予見するためにも、利用形態の例示は歓迎されよう。卑近な例ではデジタル情報の蓄積(アーカイブ)や検索、教育・研修での著作物利用など、これまでのグレーゾーンが明確になるのは良いことだ。制度整備を急いでもらいたい。

ただ第4次産業革命やソサエティー5・0を加速するには、より大胆な権利利用が求められよう。今後も社会の変化を踏まえた見直しが必要だ。

(2017/5/29 05:00)

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