[ オピニオン ]
(2017/6/7 05:00)
IoT(モノのインターネット)を活用した次世代工場「スマートファクトリー」の推進団体の連携が進んでいる。協力し合う理由の一つは、それぞれが実証実験を通じて具体的な成果が出始め、互いの強み、特徴が見えてきたためだ。有力団体の連携でモノづくりの進化に弾みがつくことを期待したい。
日本のIoT推進団体、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)が、米インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)と、製造業向けIoT(IIoT)分野での連携に合意した。事例共有や共同実証実験に向けた協力などを予定しており、IIoTの国際標準化を促すことにつながる。
IICは昨年、ドイツ政府が旗を振るインダストリー4・0と提携し、技術標準化を視野に入れた協業を始めた。日本勢は出遅れ、主導権争いで不利になると懸念されたが、IVIが実証実験を通じて製造現場の課題を解決する具体的なIoT活用事例を示して存在感を示し、IICとの提携に結びついた。
経営者層の判断材料として、ビッグデータを集めるというのが欧米流のやり方。現場から積み上げる日本流のIoTと補完し合えると判断された。この分野で日米欧が主導権を争っている、というのは一面的な見方だといえよう。
一方で大企業だけでなく中小企業もIoTに対する認識を深めてほしい。IoTの普及で企業の壁を越えてつながることが求められるため、自分たちが何をするのか見極めておきたい。
課題を抽出して解決策を探る改善活動を手がけている製造現場は多い。IVIのような現場からのボトムアップで課題を分析して、どうあるべきかを考える地道な取り組みが、結果としてIoT活用をリードするだろう。
7日に東京・有明の東京ビッグサイトで展示会「スマートファクトリーJapan」(日刊工業新聞社主催)と関連シンポジウムが始まる。モノづくりのIoT普及に向けた課題を共有し、解決策を探る場にしたい。
(2017/6/7 05:00)