[ オピニオン ]
(2017/6/13 05:00)
成長戦略の具体的な目標となるのが「ソサエティー5・0」の実現である。官民が協調し、推進力を高めてもらいたい。
政府は「未来投資戦略2017」を閣議決定した。従来の産業競争力会議に替えて、昨年9月に設置した政財界連携の未来投資会議の初の報告書だ。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」のうち、成長戦略の遅れが各界から指摘されてきた。政府がこのことを自覚し、より具体的な姿を描こうとしたものといえる。大きな方向性として、経団連など民間が提唱してきたソサエティー5・0を中核に据えたことを評価する。
未来投資戦略では、アベノミクスによって岩盤規制の改革が進み、新たなビジネスが動き出したことを強調している。確かに電力・ガスのシステム改革や農業協同組合の再編など、いくつかの成果はある。しかし、それが新産業の誕生につながっているかどうかは微妙だ。例えば電力の小売り自由化で業界は活性化したが、プレーヤーの大部分はエネルギー業界の既存企業であり、新規参入組の活躍は限られる。
空港などの公的施設を民営化して運営・整備するPPP/PFI方式の新事業は、どちらかといえば経営効率化が課題。アベノミクスの大きな成果である法人税の実効税率引き下げも、日本企業の競争力につなげるにはある程度の期間がかかる。
そうした中で最も期待されるのはビッグデータ解析や人工知能、ロボットなどの新技術を活用した第4次産業革命の進展であろう。産業界も動向を注視している。政府が新技術の重要性をきちんと理解し、民間の活動しやすい環境を整備することが望ましい。例えば自動運転車の実用化を急ぐためには、公的規制の見直しやインフラ整備を同時に進める必要がある。未来投資戦略では、そうした点を強調している。
政官財がソサエティー5・0という共通のビジョンを持つことは、第4次産業革命による新たなビジネスを生み出すことにつながる。産業界も、新戦略にベクトルを合わせたい。
(2017/6/13 05:00)
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