[ オピニオン ]
(2017/7/10 05:00)
今春の異動で、東京都心から郊外の都市に職場が変わった。働き方改革が叫ばれる中、慣れない職場と仕事のせいか連日残業が避けられない。その割には「体力はまだ残っているな」と感じる。
思い当たるのは通勤の変化だ。以前の都心に向かう出勤ルートとは逆なので、電車内は空いている。約1時間ほとんど座っていられる。通勤ラッシュは労働生産性を低下させるといわれる。その逆の効果が出ているのかもしれない。
東京都は11日から「時差ビズ」と呼ぶ働き方改革運動を始める。企業約230社が参加し、時差出勤やフレックスタイム、テレワークなどを奨励し、朝の通勤電車の混雑を少しでも緩和させようという試みだ。
JR東日本や東京メトロなど鉄道会社も参加し、例えば東京急行電鉄は朝6時台に臨時特急「時差ビズライナー」を走らせる。小池百合子知事が提唱したもので、環境相時代に導入して定着した夏の軽装「クールビズ」の再来を狙っている。
都心は再開発ラッシュで高層ビルが次々と建つ。これが昼間人口の集中度を加速させ、混雑を激しくさせる。都心集中を緩和し、通勤客の流れ自体を変えた方がよほど効果的なのに…と、がらんとした電車内でふと考えた。
(2017/7/10 05:00)