[ オピニオン ]
(2017/8/18 05:00)
景気の拡大はバブル期を超えたが、先行き不透明感は払拭(ふっしょく)できない。だがこんな時こそ、前向きな姿勢が未来を明るくする。特に新分野への進出を志向する中堅・中小企業には積極的な設備投資を期待したい。
家電・電機分野の中堅・中小企業で、自動車など他分野への事業転換を果たした企業の多くが、積極的な設備投資をしたという調査結果を近畿経済産業局が公表した。パナソニックやシャープといった大手電機メーカーの構造変化を受けた関西の中堅・中小16社を調査した。
中堅・中小が大手メーカーの構造変化に応じて事業転換した際、よりどころとしたのが、大手との取引関係のもとで蓄積した技術力・財務力・人材力である。スムーズな事業転換を果たした要因として、転換に向けた意思決定と行動を早期に行ったことを挙げる。
事業転換を果たした企業に共通するものは、積極的な設備投資により自動化、省力化、高付加価値化を図った点だという。設備投資の判断には、ものづくり補助金の採択が影響していることも分かった。
具体例として、家電向けの金型を手がける企業は、設備投資に踏み切ることで自動車分野への事業転換を果たした。この企業によると、家電向けと車向けの金型は異なるため、設備投資をできた企業だけが車部品の仕事を受注できているという。
また、かつて液晶パネル用のプラスチック部品を生産していた工場は、積極的な設備投資により、現在は生産ラインのほとんどを車載部品向けに転換した。自動車部品メーカーとの取引で培った技術・ノウハウをパナソニックとの取引に生かしている企業もある。
設備投資にはリスクが付きものである。ただこうした実態を見ると、設備投資なしに事業転換を果たすことは難しいといえるだろう。
関西には“やってみなはれ”の精神がある。大手メーカーでも事業構造の転換を迫られる今、中堅・中小企業は自社の技術力や人材力を信じ、ぜひ一歩前に踏み出してもらいたい。
(2017/8/18 05:00)
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