[ オピニオン ]
(2017/10/4 05:00)
大阪観光のシンボルである大阪城天守閣の入館者数が1931年(昭6)の開館以来、累計1億人を突破した。外国人観光客の増加が目立ち、天守閣を含む大阪城公園全体の管理・運営に、民間の力を生かす施策が功を奏した点も注目したい。
大阪城天守閣の来館者数はここ数年増え続け、2016年度は過去最多の255万人となった。天守閣の管理・運営は15年4月から20年間の民間委託が行われ、複数企業で構成する共同事業体「大阪城パークマネジメント」(大阪市中央区)が大阪城公園全体(大阪城ホールなどは除く)を管理・運営する。
公園など公共施設の指定管理者制度は、自治体が事業者に一定の委託費を支払うのが一般的だ。これに対し大阪城公園は、大阪市が委託費を払わず、逆に事業者が基本納付金と収益に応じた納付金を市へ払う。事業者にリスクは伴うが、施設整備や運営面での自由度を大幅に高められるのが特徴だ。
今年に入り、公園内は変わってきた。飲食や物販、ランニングステーションなどを備えた複合施設「ジョー・テラス・オオサカ」が6月に開業。さらに10月中旬には、天守閣近くで歴史ある旧陸軍第四師団司令部庁舎を活用した複合施設「ミライザ大阪城」が完成する。
大阪城パークマネジメントの木下健治社長は「大阪城の持つポテンシャルは大きい。特別史跡であり制約もあるが、さまざまな工夫で集客力を高めたい」と意気込む。
関西では公営交通や空港の民営化が進む。来春には大阪市営地下鉄が民営化される。関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港との一体運営を目指す神戸空港も、神戸市からオリックス陣営への民間委託が決まった。
もともと関西は官に頼らず、自主独立の気風で民の力を利用するDNAがある。大阪城天守閣はその象徴で、昭和初期に市民からの寄付金を集め、天守閣を復興した経緯がある。大阪を中心に進められる万国博覧会誘致活動も、民の力なくして成功はありえない。民間の気概を見せてもらいたい。
(2017/10/4 05:00)
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