[ オピニオン ]
(2017/10/26 05:00)
見直し論が浮上していたプレミアムフライデーは、月末金曜日の実施継続が決まった。矛盾を抱えた施策とはいえ、企業は取り組みをもっと主体的に捉えるべきだ。
毎月末の金曜日に勤務時間を短縮し、消費喚起と働き方改革を狙うプレミアムフライデーは、経団連と経済産業省の呼びかけで始まった。低迷する個人消費の喚起策だが、そこに政府の提唱する働き方改革が加わったことで“早帰りキャンペーン”の色彩が強まった。
2017年2月の初回こそ話題となったが、その後は盛り上がりに欠けるのが現状だ。要因の一つは、消費喚起なのか、働き方改革か発信側も訴求できておらず、中途半端な取り組みになってしまったことである。
また早めに仕事を切り上げるには、取引先との関係や業界慣行まで踏み込んだ業務改革を伴ったものでなければならない。これも手つかずである。
それでもプレミアムフライデーに対する企業姿勢は、受け身すぎではないだろうか。創造的な取り組みへ向けた「好機」と考えるよりも、上からの「押しつけ」と捉える向きが強い。
メーカーや小売業界なら、プレミアムフライデーを単なるイベントと捉えるのではなく、「ライフスタイルを見直してみよう」と考える消費者の心に響く商品やサービス開発にもっと力を注ぐべきだ。
経団連加盟の大手企業は自社だけが早帰りするのではなく、業務の発注方法や取引先との関係を見直す契機としたい。その結果、地方や中小企業への波及効果が期待できるだろう。
日本は労働条件の決定において、長らく「労使自治の原則」が尊重されてきた。だが、働き方改革をめぐっては安倍晋三政権の関与が強まる一方である。政権主導が行き過ぎれば、企業活動の実態と乖離(かいり)してしまう弊害も懸念される。
プレミアムフライデーを上からの押しつけと考えるのではなく、独自性のある新商品・新サービスの開発や新たな働き方を実践するなど、主体的に企業価値創造に挑んでほしい。
(2017/10/26 05:00)
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