[ 科学技術・大学 ]

慶大、O157の炎症抑える−ビフィズス菌で実証

(2017/10/31 05:00)

慶応義塾大学の福田真嗣特任准教授は、特殊なビフィズス菌を腸内で増やすと、「O157」など腸管出血性大腸菌の感染で起きる炎症が抑制されることをマウスの実験で実証した。特殊なビフィズス菌の代謝物である酢酸が、大腸の上皮細胞の保護作用を高め、腸管出血性大腸菌の出す毒素の侵入を防いでいた。

ビフィズス菌は、糖を取り込む「糖トランスポーター」という構造を持つ。通常、ビフィズス菌はブドウ糖を取り込む糖トランスポーターを持つ。

腸内にブドウ糖を利用するビフィズス菌を持つマウスに、O157を感染させると、腸管の表面にある上皮細胞が炎症を起こす。炎症で細胞が死ぬと、そこからO157の出す毒素が侵入してしまい、マウスは死んでしまう。

一方マウスの腸内に、ブドウ糖だけではなく、果糖も取り込む糖トランスポーターを持つ種類のビフィズス菌を定着させ、O157を感染させたところ、マウスの腸管内の炎症は抑制された。

果糖も取り込むことができる種類のビフィズス菌は、代謝産物として酢酸を生成する。酢酸は、腸内で免疫応答を抑制する「制御性T細胞」の分化を促しており、炎症を抑制していた。

O157は、大腸の末端で炎症を起こすことが知られている。実験で用いたような果糖などを、大腸の末端に運ぶはたらきを持つ機能性食品を開発できれば、O157の感染に強いビフィズス菌を腸の末端で増やせる可能性がある。

福田特任准教授は、「腸内フローラ(腸内細菌の群れ)は人それぞれ個性がある。特徴を判別して最適な健康食品を提供するなど、“個別化ヘルスケア社会”を実現したい」と話している。自身が社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるバイオベンチャー、メタジェン(山形県鶴岡市)での実用化も検討している。

(2017/10/31 05:00)

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