[ 科学技術・大学 ]

【電子版】かに星雲から史上最強450兆eVのガンマ線、チベットの観測装置で検出 日中共同チーム

(2019/7/8 05:00)

  • ハッブル宇宙望遠鏡によるかに星雲の可視光イメージ(NASA提供)

 東京大宇宙線研究所などが参加する日中共同研究チームは、中国・チベット自治区に建設した「チベット空気シャワー観測装置」で、超新星爆発の残骸「かに星雲」から飛来した観測史上最も高いエネルギーのガンマ線検出に成功したと発表した。論文は米物理学誌フィジカル・レビュー・レターズ電子版に掲載された。

 地球に飛来した宇宙線やガンマ線は、大気中の原子核と衝突するなどして大量の2次粒子(空気シャワー)を生む。同装置はこの粒子を検出器で捉え、元となった宇宙線のエネルギーや方角を算出するが、高エネルギーのガンマ線は宇宙線にまぎれてしまい検出が難しかった。

 同研究所の川田和正助教らは、ガンマ線由来の空気シャワーには素粒子ミューオンが少ないという特徴に着目。2014年、同装置の地下にミューオンの計測器を設け、宇宙線とガンマ線とを識別することに成功した。

  • 東京大宇宙線研究所などが標高4300mの中国・チベット自治区に日中共同で建設した「チベット空気シャワー観測装置」(同研究所提供)

 約2年間の観測で、かに星雲の方向から最高で450兆電子ボルト(エネルギーの単位)のガンマ線を検出。ドイツの観測装置が検出した75兆電子ボルトを大幅に塗り替えた。成果は、1912年の発見以来、その起源や加速の仕組みが分からない宇宙線の解明にもつながるという。川田助教は「高エネルギー領域のガンマ線観測手法が確立できた」と話している。

 研究チームには東京大のほか、弘前大、宇都宮大、日本大生産工学部(千葉県習志野市)、横浜国立大、信州大(長野県松本市)、甲南大(神戸市)などが参加している。(時事)

(2019/7/8 05:00)

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