モノづくり日本会議 新モビリティー研究会「Industry Transformation in Mobility」

(2021/4/14 05:00)

モノづくり日本会議は新モビリティー研究会「Industry Transformation in Mobility」を3月4日、オンライン開催した。第4次産業革命における産業の構造変化が進む中、モビリティー領域での企業の新たな戦略について考察した。

オープン化で変化に対応

PwCコンサルティング パートナー 川原英司氏

企業の中身をデジタルで変え、新しいビジネスモデルをデジタルで作るDXが話題となっているが、前提となる産業自体の構造をトランスフォームしなければならない時代だ。どういう方向に向かうべきか、新しい戦略ポジションはどうあるべきかを、さまざまな業種で考えなければならず、また、考えることができる時代になっている。

モビリティー産業で起こっている構造変化はCASEに代表されるが「コネクテッド」「エレクトリック(電動化)」「オートメーテッド(自動運転)」に加え、「S」はシェアリングよりもむしろスマートシティーとの関連も踏まえて「スマート」であると考える。まず「C」は技術、消費者の受容、規制なども整い2025年ぐらいまでにほぼ普及すると考える。「E」も25年ぐらいまでに欧州、中国で加速的に立ち上がるだろう。「A」は想定より少し遅れるかも知れない。スマートは規制などを乗り越えれば、中国、欧州が先行して普及するだろう。

こうした中、ベンチャーキャピタル、大手ITプラットフォーマーであるテックプレーヤーの投資は継続し、コア事業を守ってきた自動車メーカーの投資も復活するだろう。第4次産業革命(4IR)において出てきたAI、ロボティクスをはじめとするテクノロジーや、革新的な素材、エネルギー領域での革新が、さまざまなモビリティーイノベーションを生んでいる。

モビリティー領域はE/E(電子/電気)化、コネクテッド化、オープンIoT(モノのインターネット)化などによって、産業パラダイムの変化が進行中だ。これまでになかったビジネスや参入企業もたくさん出てくる中、例えばソフトウエアのレイヤーの中ではどこで自社の強みを発揮するのか、といった新しい戦略ポジションが重要となる。

新規参入拡大

多くの業界でこうした「インダストリートランスフォーメーション」と呼べる変化が起きている。FA/ロボットや建設機械、モバイル、もちろん自動車などでも、ソフトウエア化を起点として、ソフトウエアを効率的に開発・実装しようとするとプラットフォーム化が避けられず、さらにプラットフォームを生かすオープン化が進み、オープンな競争環境が生まれる。どこをオープンにするかといったオープン&クローズ競争もより重要となるし、比較的簡単にサービス、製品が開発できるので産業構造としては新規参入が増える。

バリューチェーンの構造も相乗的に変化する。顧客、商品、ビジネスモデルは変化し、既存の延長で事業を進めることによるリスクが拡大することもある。

モビリティー産業のビジネスドメインの多様化も進む。MaaSなどサービスの統合や提供、車両ハードウエアの提供、インフラ側の提供、クラウドほかプラットフォーム機能の提供などがある。ソフトウエアレイヤーだけでなくバリューチェーンも分断する。企画、開発、製造、販売、サービスといった中から、ある部分だけ外に出すなど、各レイヤーでの競争が生まれ、連携のオプションも複雑化する。従来は巨大な自動車のバリューチェーン全体をスムーズに流すことが求められたが、製品の中でもバリューチェーンや機能がデジタル連携されつつ分断され、関係性も変化する。

次世代戦略のポジショニングは、サプライヤーとしても見直しが必要だ。自動車メーカーは企画から販売サービスまでといった製品市場戦略が求められてきたが、機能分断、ソフトウエア分断もあるので、どこで戦うか見直す。プラットフォーマーとして開発環境、サービス環境を提供するビジネスというポジションもあるし、多くの企業が投資を控えるような分野で残存者利益を狙うポジションもあるだろう。

こうした改革は100年に一度などと言われるが、実際には自動車産業では10年刻みくらいで製品構造や生産システムなどの変革が進んできた。今回は前提となる産業構造自体が大きく変化する中での大改革が必要となっており、近年実証実験などを進めてきた新しいものの実装を開始しつつ、戦略的方向性を定め、2030年、2050年に向けた大きな変革を進めるタイミングだ。

「CASEプラスS」で戦略見極め

相反する資質

そうした経営には六つの、ある意味で相反する資質が必要だ。「グローバル思考のローカリスト」「清廉な策士」「謙虚なヒーロー」「戦略的な実行者」「テクノロジーに精通したヒューマニスト」「伝統を尊重するイノベーター」と名付けている。組織としてビジネス領域を見極め、CASEプラスS(サステナビリティー)の観点でポジションを考えなければならない。

また、業界を超えた競争をシミュレーションし、どこと連携しながら収益を上げていくか、もうかるビジネスモデルを開発する。慣れ親しんでこなかった業界も含め、提携や買収などを行うこともあるだろう。これらを継続的に進められるプラットフォームを持ち、新しい時代に向けた戦略を策定実行する。

(2021/4/14 05:00)

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