社説/ドローンによる物流 過疎化・高齢化対応掘り起こせ

(2021/11/26 05:00)

過疎地の物流に飛行ロボット(ドローン)を活用する新しい試みが始まった。実サービスが軌道に乗れば過疎に悩む全国の自治体向けにドローン物流が広がる。今後に注目したい。

ドローン配送技術に強みを持つエアロネクスト(東京都渋谷区)がセイノーホールディングスと共同で、山梨県小菅村において配送料金をとる実サービスを始めた。高齢化や買い物難民、トラック輸送の人手不足や二酸化炭素(CO2)削減などで地方自治体におけるドローン物流への関心は高いものの、実サービスでは収益を確保できるかの問題がつきまとう。

小菅村で始めた実サービスはドローン配送と、買い物・配送代行サービスの二つ。ドローン配送では利用1回ごとに300円(消費税込み)の配送料を取る。商品は食料品や日用品、薬、調味料など300品目から選択する。村内に設置された5カ所の拠点まで、ドローンが商品を配送する。

過疎化と高齢化に悩んでいる自治体は多い。客不足から商店が次々廃業し、物を買うには車で数キロメートル以上離れた市街地の商店に行くしかない。高齢者には安全運転や、運転がそもそもできない問題がつきまとう。

ドローン配送はその問題解決に有効だが実際にビジネスで始めるには、収益確保が課題になる。過疎地では利用件数が少なく、赤字覚悟でドローンを飛ばす未来も想像できるからだ。

公共サービスだから自治体が補填(ほてん)すれば良いとの考えでは真の解決にならない。実サービスで特徴的なのは配達場所に応じてドローンと通常のトラック輸送を組み合わせていること、雨や強風でドローンが飛べない場合はトラックが代行すること、利便性を考えて運行間隔を30分に設定していることなどだ。

エアロネクストは小菅村以外に北海道と福井県の自治体でも、実証実験を進めている。配送料金の低下や扱い商品の拡大などで利用増を目指す考えだ。ドローン機体も国産ドローンメーカーACSLを筆頭に低価格標準機の開発が進んでいる。行方を見守りたい。

(2021/11/26 05:00)

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