ロボットと働く/牧野フライス精機 組み立て・検査工程を自動化

(2023/9/5 05:00)

単純作業の負担軽減

牧野フライス精機(神奈川県愛川町、清水大介社長)は、工具研削盤を製造する。2019年に加工対象物(ワーク)を取り付けて供給するパレットを組み立てる工程をロボットで自動化。同年に筒状の保持具でワークや工具などを固定するコレットチャックの検査を自動化した。清水社長は自動化のメリットを「ロボットの活用で単純作業から解放され、人がより付加価値の高い仕事に専念できるようになった」と話す。(岡紗由美)

  • 協働ロボットは周りに配置された部品からパレットを組み立てる

牧野フライス精機の工具研削盤は顧客の要望に合わせてオーダーメードで製造する。組み付け作業には微妙な調整が必要で、配線や配管にも職人のノウハウが要る。人手不足が課題となる中、人にしかできない仕事に時間を使いたいと模索していた。

まず板状の金属2枚の間の四隅にシリンダーを挟み、ねじ込みするパレットの組み立てを自動化した。人が近づいてナットの配列などをするため、柵なしでも安全に人と協働できるファナックの「緑色のロボット」を1台導入した。

研削盤1台につき、複数枚のパレットが必要となるため、従来は手が空いた人が「ついで仕事」としてパレットを組み立てていた。パレット1枚の組み立てにかかる時間は人が約5分に対し、ロボットが約7分。単純計算ではロボットが遅いが、疲れ知らずで、人による組み付け誤差を減らすことができた。

  • 繰り返し測定が必要なコレットチャックの全数検査を自動化

次に自動化したコレットチャックの検査は、工具を回転させたときの回転中心からの変位量の振れ精度を確認する。自動化は研削するワークを自動で供給・回収できる牧野フライス精機のロボットシステム「ロボックス」を応用。コレットチャックに印字された2次元コード「QRコード」を読み込み、測定に使うワークや治具を特定する。

機械加工の精度に関わるツールホルダーが工具研削の肝とし、同社は独自でコレットチャックを設計・開発している。完成品は寸法精度は問題ないが、ワークをクランプしたときの振れ精度が出ていることが重要なため、テストバーをクランプして全数検査している。

ただ、検査は大きな負担だった。コレットチャックとアダプターの位相を変えながら、複数箇所をくわえ直して振れを確認する。一つ当たり1時間7分程度かかるため、人による計測は一日中担当者が付きっきりだった。

当初は測定エラーでQRコードを読み込めないときがあったが、光の加減を調整したことで解決した。測定時間は正確に測ることを優先し、1時間15分と人と同程度になった。

今はほかに自動化できる作業があるかどうか検討中だが、一方でロボットの可能性にも期待する。同社は3月にロボックスにパレットの穴の位置を教える自動ティーチング機能を追加した。1台につき、人手で8時間かかっていた作業が1時間に短縮。再度ティーチングが必要になった際もユーザー側でできるようにした。清水社長は「ロボットの使い勝手や位置決め精度、繰り返し精度が良くなってきている。積極的に面白いロボットを取り入れたい」と話す。

(2023/9/5 05:00)

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