生成AI活用で人のスキル向上後押し SMBC日興証券、本格導入へ事例抽出

(2023/11/2 12:00)

SMBC日興証券は2024年度から生成人工知能(AI)の業務への活用を本格的に始める。業務に導入できそうな事例を抽出し、有意性や実現可能性の検証を行っており、23年度内には作業を完了させる予定だ。生成AIの業務への活用を広げる一方で、人にしかできない業務のスキルを高めて導入効果を引き出す考えだ。

  • 生成AIの活用事例を洗い出すためワークショップを実施

同社は6月末から7月にかけて生成AIを活用する事例を洗い出すワークショップを開催した。各部署から延べ280人が参加した作業の結果、出てきた事例は2000に達した。これらの事例を抽象化することで60程度に分類し、役員や理事・部長クラスから指名された生成AI推進責任者10人が中心となって導入可否を判断している。デジタル戦略部の佐々木有香部長は「実現可能性に加え、業務効率化のインパクトを重視している」とし、なるべく人手のかかる業務に適用を図る考えだ。

生成AI活用で先行して取り組む事例もある。一つがアンケートの分析だ。満足度やその理由を回答してもらう形式は、回収後にコメントを分析する負荷が大きい。生成AIで何が書いてあるか分析するだけでなく、課題の分類や改善策の導出まで行わせる方法を実際に試している。国内外のリポートや政策などの要約、整理にも活用している。

生成AIを資産形成の助言に生かすアイデアも現場から出ているという。「人が介在せずに顧客にそのまま助言するのは当然リスクを伴うため、しっかり検証しなければならない」(佐々木部長)とし、リスク許容度を見極めながら活用を探る考えだ。

生成AIに適切な出力を促すためのプロンプト(指示)研修も開催している。受講者はそれぞれの職場で周囲にスキルを教える役割を担う。23年内にマイクロソフトの業務用チャットサービス「Teams」で用いる生成AIの形で全社の運用を始める予定だ。

生成AIは現在は限られた社員で試行的に運用しているが、全社員が実際に日々の業務で活用できるようにする。例えば生成AIで会議の議事録の要約を行い、次のアクションや誰に割り振るかなどの指示も提示できるようになる。

同社は生成AIの本格導入にあたり定量的な目標を設定していない。「新しい技術を導入し、自分の業務に活用する人材を育成するほうが大事」(同)という考えから、デジタル技術を使いこなせる人材育成により一層力を入れる方針だ。

(2023/11/2 12:00)

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