中島田鉄工所、宇宙ゴミ対策で装置 薄膜使い軌道離脱

(2023/11/24 12:00)

地球を周回する使用済みの人工衛星やロケット、それらの破片などはスペースデブリ(宇宙ゴミ)と呼ばれる。他の衛星と衝突しないよう除去する対策の必要性が高まっており、複数の方法で検討や開発が進む。その中で中島田鉄工所(福岡県広川町、中島田正宏社長)の対策装置が実績を重ねている。さらに衛星の高度を下げる装置としての可能性も見えてきた。

  • 展開したドム

中島田鉄工所はネジやボルトを加工するヘッダー、フォーマーなど鍛圧機械メーカーだ。デブリ対策装置では東北大学と共同開発した膜展開式軌道離脱装置「DOM(ドム)」を製品化している。

ドムは人工衛星に搭載し、衛星の役割を終えると薄膜を広げる。薄膜がわずかな空気の抵抗を受けることで衛星を減速させ、大気圏に突入し燃え尽きる。2012年以降、6台が衛星とともに打ち上げられ、3台が役割を果たした。

ドムの特徴はシンプルな構造で部品点数も比較的少ないこと。薄い金属製テープが伸びることを利用して薄膜を広げる。衛星とロケットをつなぎ、切り離す部分の空間に収まることを設計コンセプトにした。膜の大きさによって3タイプある。衛星の取り付け箇所など、個別に対応する仕様は相談に応じる。

製品の課題の一つが軽量化だ。現在用いるアルミニウムやステンレス以外に、樹脂を利用できる可能性がある。その場合、紫外線の影響などの評価を大学と進める考えだ。樹脂が採用できれば、成形に3次元(3D)プリンターが使えるのではないかとみる。

  • 宇宙空間での使用イメージ

膜の面積拡大も課題とする。ここでは新たな設計や強度解析などがポイントになる。大きな膜は衛星を早く離脱させる場合のニーズがあると想定する。「改良、開発の余地はたくさんある。ユーザーの声を聞いて、我々が気付かなかったところに対応していきたい」と中島田社長。

最近は衛星を単に軌道から離脱させるだけでなく、既定高度まで下げる使い方にも注目する。膜を広げて既定高度に達すると、装置は衛星から離れて落ちる。衛星が希望より高い高度で放出される場合などでのニーズを見込む。実証に成功したほか、高度を下げることについての問い合わせも来ている。

事業上の課題は、大幅な増産が必要になった場合の人材確保だ。

現在、ドムを手がける従業員は限られる。今後多くの従業員が対応できる体制をつくり、誰でも同じ品質で作れる作業の標準化を進める方針だ。薄膜を折りたたむ工程などではロボットの採用も視野に入れる。「今はまだ工芸品のような作り方をしているが、工業製品にすることが大事」(中島田社長)。

さらに中島田社長は新たな産学連携や企業連携への積極姿勢を見せ、素材や構造といった各社の得意分野を持ち寄る連携に大きな可能性があると期待する。「特に中小企業の場合はオープンイノベーション的な発想で共同開発や協力をしていかなくては」と幅広い連携を模索する。

(2023/11/24 12:00)

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