(2024/3/12 12:00)
独イグスの日本法人であるイグス(東京都墨田区、吉田剛社長)は、産業機械の可動部向け樹脂製品や協働ロボットなどを展開する。同社には顧客第一主義を徹底した「ソーラーシステム」という組織スタイルが根付く。働き方の観点でもソーラーシステムの思想を軸に、慣習にとらわれない合理性を正とする働き方が特徴だ。外資系企業の中でも特異な組織スタイルを展開する。
ソーラーシステムは顧客を太陽に見立てた考え方だ。太陽が生活に不可欠な光やエネルギーを届けるように、ビジネスにおいてアイデアやエネルギー、お金を与えてくれるのは顧客だと認識。独イグスのフランク・ブラーゼ最高経営責任者(CEO)が構想し、1990年前後から取り入れている。
顧客目線の合理的な働き方の一端が営業社員に見られる。イグスでは東京に事務業務を集約させており、営業のオフィスを設けていない。そのため営業社員は担当エリアを直行直帰で活動。オフィスへの通勤や朝礼といった時間に縛られることなく行動でき、その浮いた時間を顧客訪問など最適な動線で有効活用できる。吉田剛社長は「効率的かつ緊密にお客さまをサポートできる」と説明する。
個人に裁量を与えた勤怠管理は働きやすいと好評だ。一方、営業社員同士が顔を合わせる機会は少ない。そこで四半期に一度の割合で営業会議を実施するほか、全社としても年会を開催。コミュニケーションの種となるような企画も催し、企業カルチャーとして重視する「ワンチーム」の強化に取り組む。
顧客第一主義の考えは営業スタイルに限らず経営の根幹部分にも及ぶ。イグスでは予算や経営計画を作成しない。一般的な企業では予算計画の作成に数カ月を費やすことは珍しくない。その期間、該当部門や担当者には大きな負担がかかる。ただ計画通りに事が運ぶ保証はない。それならばその労力を顧客に向けた方が良いという発想に基づいている。
前年比でプラスの売上高や受注を目指す大枠の目標は存在するものの、採用を含め達成に向けたアクションの多くは日本法人に権限がある。
また、イグスでは日本企業で多く見られるピラミッド型の組織図ではなく、階層を極力減らしたフラットな組織図に特色がある。2023年1月時点で、従業員は190人程度いるが、吉田社長をトップに、マネージャー、一般社員の3階層しかない。マネージャーがいない部門では、一般社員の次の階層が直接トップであることも往々にしてある。吉田社長は「承認スピードを速くできるため、お客さまの要望に即断即決で対応できる」とメリットを明かす。
東京の本社ではトップを含め、ワンフロアに従業員が集う開放的な作りを導入。階層が少ないだけでなく、気軽に相談もしやすい環境を構築。顧客目線で効率良く業務を遂行するため残業時間も少なく、ワークライフバランスが浸透する独流の働き方が定着する。
(2024/3/12 12:00)
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