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[ エレクトロニクス ]
(2017/6/8 05:00)
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、米ブロードコムが有力な買い手候補に浮上した。米ファンド・シルバーレイクの支援を受ける豊富な資金力が強み。ブロードコムは東芝メモリを単独で買収する意向を示す。一方、日本政府は国内にメモリー産業を残すため、一定水準の出資を計画してきた。ブロードコムが日本政府とどう交渉していくかが、注目点の一つとなる。(後藤信之、渡辺光太)
「ブロードコムと政府関係者との交渉は継続している」―。入札関係者は明かす。ブロードコムは2兆円超の金額を示し、東芝メモリの単独買収を目指す。懸念材料の一つが日本政府の動向だ。
日本政府や経済界には東芝メモリに対し、3分の1超の出資を実行したいとの思惑がある。同社の拠点や雇用、開発機能などを国内に長期にわたり維持することが目的だ。
実際に4月中旬にはブロードコムと、政府系ファンド・産業革新機構、日本政策投資銀行などが連携して出資する案も浮上した。しかし今後、ブロードコムが革新機構などと組めるかは不透明だ。東芝の協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が、ブロードコムに強い拒否反応を示しているからだ。
WDは東芝メモリの第三者への売却は契約違反として国際仲裁裁判所に手続き差し止めを申し立てた。革新機構は「係争中の案件には出資しにくい」(幹部)とし、東芝にWDとの和解を求めている。こうした中、「(WDは)革新機構に対しブロードコムと組むなら仲裁申し立てを却下しないという姿勢を示し、両者が連携しないよう仕向けるはず」(業界関係者)の指摘が上がる。
ブロードコムは東芝メモリの既存工場に継続投資する意向を強調し単独買収について政府の理解を得たい考え。
革新機構を軸に米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やWDによる日米連合も有力な買い手候補と目される。しかし、その結成は遅れている。このまま日米連合の計画が頓挫すれば、ブロードコムの勝利が即確定する流れだ。
(2017/6/8 05:00)
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