(2022/4/27 05:00)
政府はウクライナ情勢に伴う原油高・物価高に対応した総合緊急対策をまとめた。国費で6兆2000億円、事業規模13兆2000億円を投じ、ガソリン価格の高騰抑制や中小企業・生活困窮者支援に動く。足元の物価上昇に対応した緊急措置として効果を期待したい。
ただ、ガソリン価格の抑制策は9月末までで、ウクライナ情勢が長期化すれば新たな対策が必要になる。中小企業支援も資金繰りが中心で、懸案の過剰債務がさらに膨張する可能性があり、「返済」の問題が大きな課題として残る。政府は今回の緊急対策で解消できていない問題の継続審議が求められる。
ガソリン価格を抑制するため、石油元売り会社に支給する補助金の上限を1リットル25円から35円に引き上げるのは9月末までの時限措置だ。あくまで緊急避難的な措置で、10月以降は今後の検討課題になる。
ロシアのウクライナ侵略は長期化の様相を呈し、産油国も脱炭素化の流れを見越して化石燃料への新規投資には慎重姿勢を崩さない。原油価格が高水準で推移することも想定される。石油元売り会社への補助金支給が恒常化するような事態になれば、財政負担は膨張し続ける。
電源構成や調達先の多様化など、中長期のエネルギー戦略の策定を急ぐ必要がある。
中小企業支援では、6月末が期限の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を9月末まで延長するほか、政府系金融機関による「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」の金利を引き下げ、資金繰りを支援するという。
だが、これらの支援は雇用調整助成金などと異なり、返済義務を伴う。ゼロゼロ融資残高は40兆円超に達し、年末に向けて返済が本格化する。帝国データバンクによると、2月末までの累計で、ゼロゼロ融資を受けた後の倒産は210件を数え、増加傾向にある。融資後も収益力が回復しない事例を減らすことが今後の大きな課題だろう。
延命でなく、いかに事業再生させるか。対処療法でない施策の一段の拡充を求めたい。
(2022/4/27 05:00)
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