産業春秋/好奇心と突破力

(2022/11/9 05:00)

自動車大国の歴史をさかのぼるとエンジニアの山羽虎夫氏に行き着く。初の国産蒸気自動車を製造した功績が評価され、2022年日本自動車殿堂入りした。

仕様は2気筒25馬力。ガソリンバーナーの熱でシリンダー内の蒸気圧を高め駆動源にする。1904年に自社工場のある岡山市内で行った試運転では10キロメートルを走り切ったが、実用に耐える代物ではなかった。

ゴム工場に特注したソリッドタイヤは伸びて車輪から外れかかる。汽罐(きかん)部は日本に溶接技術がなくボルト締めで製作。連続的に十分な蒸気を発生させられず、自動車は蒸気がたまるまで動かなかった。

今年はトヨタ自動車で純国産乗用車クラウンの開発と量産を指揮した中村健也氏、日産自動車初の前輪駆動車の開発を推進した増田忠氏、日本人初の国際ラリー総合優勝を果たした篠塚建次郎氏も殿堂入りした。

4氏に共通するのは未知なる領域への旺盛な好奇心と創意工夫による突破力か。エネルギー源が電気や水素に変わっても普遍的な価値を放ち続けよう。山羽氏は大手の招聘(しょうへい)を断り、エンジン付き自転車や病院手術用の自動暗幕装置などさまざまな分野で実用品を生み出し、1957年に83歳で生涯を閉じている。

(2022/11/9 05:00)

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