社説/コロナ「5類」移行 日常に回帰へ医療体制を万全に

(2023/4/28 05:00)

政府は大型連休(GW)開けの5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類を季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する。3年以上に及んだ政府のコロナ禍対策は大きな転機を迎え、日常生活や経済活動が正常化に向かうことが期待される。一方、政府・自治体は行動制限や入院勧告を行わず、感染機会が増える懸念が残る。これまで以上に自己責任が問われることに留意したい。

5類に移行後、感染者や濃厚接触者に対する外出自粛といった待機要請がなくなり、感染対策は事業者や個人に委ねられる。公費だった検査費や医療費も原則、自己負担となる。

一方、指定医療機関などに限っていた入院患者の受け入れ制限がなくなり、医療提供体制は拡充する。5類移行前に約4万2000だった外来医療機関を約6万4000に、入院できる医療機関を約3000から約8200に増やすことを目指す。規制緩和により感染リスクが拡大する可能性があるだけに、政府・自治体は十分な医療体制を整えることが求められる。

日本に入国する際に必要だったワクチン接種証明や陰性証明の提示といった水際対策について、政府は5月8日を待たずに29日に解除することで調整している。GW期間中に急増する海外旅行に配慮したもので、帰国者の入国手続きを簡素化する。回復基調にあるインバウンド(訪日外国人)がさらに拡大する効果にも期待したい。

5月19日に開幕する主要7カ国(G7)広島サミットを控え、コロナ禍対応でG7と足並みを揃えた側面もある。サミットではポストコロナを見据えた国際保健も議題とし、将来の感染症に備えた国際的な体制のあり方などを協議する見通しだ。

コロナ関連予算は21年度までの3年間で累計94兆円を計上した。約2割が未執行と「規模ありき」で積み上げた感は否めない。防衛費や少子化対策で財源難の中、5類移行でコロナ関連予算を抑える思惑も見え隠れする。だが政府は新たな変異ウイルスには引き続き警戒し、対応に万全を期してもらいたい。

(2023/4/28 05:00)

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