社説/日米韓首脳会談 安保体制強化も対中関係維持を

(2023/8/18 05:00)

日米韓首脳会談が18日(現地時間)、米ワシントン郊外の大統領保養地「キャンプデービッド」で開かれる。これまで国際会議に合わせた開催はあったが、3首脳会談を目的に単独で開くのは初めて。3首脳会談を定例化することなどを決め、中国やロシア、北朝鮮を念頭に首脳間の強い信頼関係を世界に訴える。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた日米韓の枠組み強化につながると期待したい。

ただ経済で不可分の中国とは対立一辺倒の外交は避けたい。特に日米は中国との不測の衝突を回避する上でも、意思疎通を継続する必要がある。安全保障以外の分野で中国との協力関係を拡大するなど、「対立」と「協力」の均衡点を模索したい。

日米韓首脳会談は中ロや北朝鮮を念頭に、核軍縮・核不拡散に向けた取り組みや、共同軍事演習などの防衛力強化、経済安全保障、先端技術、人道支援など広範な課題を話し合う。3首脳会談の定例化のほか、首脳間のホットライン開設なども取り上げる見通しで、日米韓の枠組みが格上げされる。北朝鮮問題にとどまらず、クアッド(日米豪印)とともにインド太平洋地域の安全保障を確保するための「歴史的な機会」としたい。

米韓は東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出について改めて安全性を評価する見通しだ。岸田文雄首相は地元漁業者らの理解を前提に廃炉と福島復興の歩みも進めたい。

中国との間合いの取り方が課題になる。安保や台湾問題で対立しつつも、経済停滞の中国は日米企業の投資を求め、日米も中国なしの経済を想定しない。日本は9月の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議と主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、中国の李強首相や習近平国家主席との首脳会談を模索する。日中は協力可能な分野で関係強化を探りたい。

米国はブリンケン国務長官とイエレン財務長官に続き、レモンド商務長官の訪中も取り沙汰される。米国は先端技術の対中輸出・投資規制を強めており、閣僚の対話で関係悪化を回避できるのか、行方を注視したい。

(2023/8/18 05:00)

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