産業春秋／大谷選手、日本人初のメジャー本塁打王

米大リーグのアメリカン・リーグの全日程が２日（日本時間）終了し、エンゼルス・大谷翔平選手の本塁打王が確定した。日本人として初の歴史的快挙で、本塁打数は４４本。２位以下は４０本に届かない大差だった。

満身創痍（そうい）でシーズンを終えた。８月に右腕の靱帯（じんたい）を損傷し、９月は右脇腹を痛めた。開幕前のワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）で日本を優勝に導いた奮闘の代償か。シーズン最後の２５試合を欠場しながらの快挙をたたえたい。

「憧れるのをやめましょう」。ＷＢＣ決勝戦の米国戦直前、超スター軍団の米国にひるまないよう大谷選手が仲間に呼びかけた。

日本人選手にとって、メジャーは自身の力を試す挑戦の場だった。だが大谷選手は米国の野球少年や現役メジャー選手が憧れる存在どころか、メジャーをけん引している。日本人初の２度目の最優秀選手（ＭＶＰ）に輝くと期待したい。

２０２１年にノーベル物理学賞に輝いた真鍋淑郎氏は米国籍。自由な研究の環境を米国に求めた。学界も球界も、ますます空洞化が進むのだろうか。日本人の海外での偉業を誇りに感じつつ、日本が外国人から選ばれるには何が足りないのか、そろそろ真剣に考えたい。