社説/工場立地の規制緩和 半導体・蓄電池の国産化加速を

(2023/10/5 05:00)

岸田文雄首相は4日、半導体や蓄電池などの重要物質の国内生産を後押しするため、市街化調整区域でも工場を立地できるよう規制を緩和する考えを表明した。月内に策定する経済対策に盛り込む。重要物質を国内で増産すれば税額控除を受けられる税制も創設する方針で、経済安全保障体制が一段と強化されると期待したい。地方での工場立地は疲弊する地域経済の底上げにも資するはずだ。地方創生の観点からも立地を促したい。

市街化調整区域は都市計画法に基づき、原則として新たな開発を行わない区域で、建設は農林水産業や公益上必要な施設などに限られている。規制緩和により、自治体が半導体工場などの建設を許可できるようにし、農地転用の手続きも通常の1年から4カ月程度に短縮する。

経済安全保障上の重要物質である半導体などは、国内でのサプライチェーン(供給網)強化の重要度が増している。経済産業省は「半導体・デジタル産業戦略」の中で、半導体関連の国内売上高を2030年に20年比3倍の15兆円に拡大する目標を掲げる。先端半導体をめぐる米中対立が続く中、中国を過度に刺激しない意味でも、国内供給体制の強化を急ぐ必要がある。

経済対策には、半導体や蓄電池の生産・販売量に応じて税額控除を受けられる「戦略物資生産基盤税制」の創設も盛り込む。電気自動車(EV)などに使われるこれら重要物質の国内生産を中長期で後押しするもので、増産を促すことで脱炭素と経済安保の確保が進展すると期待される。米国ではインフレ削減法により同様の措置を講じており、日本も戦略分野で企業の取り組みを後押ししたい。

政府は、次世代半導体の国産化を計画するラピダスや、熊本県に拠点を構える半導体受託製造(ファウンドリー)の台湾積体電路製造(TSMC)を資金面で支援。米マイクロン・テクノロジーが広島県で進める先端半導体の量産にも2000億円弱を助成する。外資の地方誘致は、地元の雇用確保や賃上げなどの効果をもたらす。継続して海外に働きかけていきたい。

(2023/10/5 05:00)

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